2017年4月2日日曜日

ホームページのURLがkasainote.netに変わります

ちょっとしたご連絡です。
ホームページ「河西大地の手植えノートWebsite」のアドレスが、ちょっとだけ変わります。

 kasainote.net

になります。
(これまでは www.kasainote.asia だったので、最後のドメインが変更になるだけです。)
なお、最初にwww.をつけてもOK、http://www.をつけてもOKです。
では、お手数ですが本日4月1日からは新URLにご訪問ください。
(なお、現在のURLは2017年5月23日で終了いたします。)



サーバー:さくらインターネット
ドメイン:お名前.com

2017年1月8日日曜日

本の虫の種類


あけましておめでとうございます。2017年、はりきっていきましょう!
まず、なかなか知られていないと思われる、「本の虫」についての有意味な情報を。
本好きの私が長年知らずにいて、やっと最近のインターネットで他人の受け売りを掻き集めて手に入れた、シンプルかつ合点のいく知識です。

今年は本をたくさん読もう。一年の計は元旦にあり。積んであった本を手に取る。
すると・・・
な、何かいるっ!
本の見返しの真ん中を、小さな白い点としての動く蟲が1匹・・・
柔らかな小さな白点が、黄ばんだ紙面を爆走していく。君の名は。

「ボクの名は、“チャタテムシ”!」
などともちろん言うはずもないが、誰が命名したのか“茶立虫”とは風情あるネーミングじゃのう・・・。
などと茶人のように澄ましたことを言っていると、たちまち本のどこかへ逃げていってしまう。
待て待て待て! 本のページによく出現するので、「本シラミ」とも呼ばれている。
でも、本を閉じたりすればすぐに潰れて死んでしまうのでベランダへ急ぎ、フッと一息で外へ追い出した。正月早々の殺生はしたくない。

これはきっとダニの一種だな。
――そう思っている方がほとんどでしょうが、そうではないのです。
なんと昆虫とのこと。古本のみならず、畳とか障子とか、そういった「和風な」場所が好きらしい。粋な奴だ。しかも障子でシャカシャカ音を立てるそうな。
シロアリに似た形で体長2mm以下。カビやらフケやら、そういう汚いものを食べて生きている。本への害はあまりないという。糞や死骸がアレルゲンになる可能性はあるとのことで、そういう理由でご退去願いたいところではある。

  *

さて、お次の虫は?
私たちが沖縄に引っ越してだいぶ経った頃のある日、家内がキャーキャーと騒いでいた。
「ナニコレ!? きゃーっ、来て!」
どれどれ、そんな小娘みたいなお声で主人を呼ぶなんて可愛いヤツめ、と思いながらおもむろにいってみると、妻は目をまん丸くして棒立ちしていた。そして押入れを指差し、もう一度確認するために恐るおそる奥を覗き込んだ。
「何か変な虫がいるの!」
「どれどれ」
私は落ち着いた表情で押入れに頭を入れたのだが・・・
「わわっ! な、なんだこいつはっ!」
初めて見る奇っ怪な微小動物に仰天した。そしてうろたえた目でおずおずとしながら、
「宇宙からやってきた生物なんじゃないか?」とまで口走った。

銀色にギラギラした5mmほどの体をくねくねさせて、隅っこを走っていく。速い。
鎧(ヨロイ)のような鎧戸のような、まぁダンゴムシ状の構造をしている虫なのだが、極めて小さくて少し長細く、そしてうねうねと~~~~~という動線を描いてひらひらひた走り、けっきょく小さな隙間の中に消えていった。

やがてコイツは頻繁に現れるようになった。
広告紙に誘導して外へ逃がすのだが、手元が狂ってちょっと紙を上に乗せただけでも体液を出して死んでしまうのがやっかいだった。ヨロイが役に立っていないではないか、と私は思う。
だがこの生き物が何なのかまったく見当がつかず、ネットでも調べがつかず、「漫湖水鳥湿性センター」という博物館に出向いた際に昆虫に詳しいお兄さんにも訊いたが、わからなかった。わからないというよりも、そもそもコトバで伝わらないのである。
「それは、昆虫なんですか?」
と博物館のお兄さんに問われた。
「昆虫ではないと思います。何科の生き物なのか、何というか何とも形容しにくいんですけれども、銀色で、うねうね素早く動いて、ヨロイみたいな背中で。いや、雰囲気的にはフナムシがいちばん似ているかな。でも背中はダンゴムシとか、ゲジゲジとか。そんな仲間だとは思うんですけど、とにかく小さくて速いんです。まるで宇宙から来た生物のような、SF的な何かなんです! 私も40年近く生きてきて初めて見ました」

まず私としては、人間に害があるのかないのかが知りたかった。
うちには一応、ヒト科ヒト属の5歳と0歳が2匹生息している。心配だ。
たとえばそれが刺してきたり、噛み付いたり、体内に入り込んだりするのかどうかをまず知りたかった。けれども、その虫が「一体何なのか」さえわからない。やがてその虫が、とくに私の古書の隙間から発見されることが多くなったのだった。
どうしたらいいのだろう?!

そんなある日。
私はいつものようにタブレットで松岡正剛『千夜千冊』ブックガイドブログを読んでいて、ある年末の書庫掃除について書かれた文章に出会った。

 「スタッフ総勢と編集学校の諸君が手伝いで参加して、今年も一斉に埃りを拭いてくれた。紙魚までは落とさない。」(1214夜『司書』)

「紙魚」とは何のことだろう?
調べると「シミ」と読むらしい。
そう。結論からいうと、これこそが私の家の隙間や私の古書の間から出てくる小さな生き物正体だったのである。
紙魚(シミ)――シミ目は、なんと「最も原始的な特徴を持った昆虫」なのだという。そうか、彼らは太古の昔からいる生きた化石としての昆虫だったのか~! だからSF的な容姿だったのか。
たしかに、よぉ~く見ると、触覚や尾っぽが2つ3つ出ている以外は6本足にみえる。小さくて細いから、シルバーの鎧の背中しか認識していなかったが。英語ではSilverFishなのだそうだ。

シミにも色々いて、よく見るのはその非常に小さな種類、まぁ多分「セイヨウシミ」だと思う。沖縄にはキボシアリシミというのがいるらしいが、体長1.3~2mmの微小種とあるがウチのはもうちょっと大きい。体長はだいたい3~6mm。
で、これが何なのかというと、知れば知るほど面白い。

 参考:→ウィキペディア「シミ目」

原始的な昆虫なので、羽が生えたりはせず、一生同じような形なのだそうだ。
まず、ほぼ人間には「無害」とのこと。そして、本の糊(のり)の部分を食べる。書籍の紙の部分は、ほとんど食さない。
私が驚いたのは交配の方法だ。オスは精子を入れた袋をおもむろに置いていくのだそうである。メスはそのプレゼントを見つけて静かに受け取る。――種の数の少ない最古の形をとどめた原始の昆虫は、こんなに上品な子孫の残し方をしているようなのだ。
見た目がグロテスクだから何だというのだろう? 人類よ、愚かなり!

  逃るなり 紙魚の中にも 親よ子よ ―― 小林一茶

              
                  2017年1月、わが家の隅を歩いていた紙魚。

ところで、この紙魚という生き物、わが家に出るセイヨウシミでは6mm以上のを見たことがないが、原理的には死ぬまで脱皮を続けて成長するという。一体どれくらいまで大きくなるのだろう?

 参考:→「シミの種類」

成虫が最大で17mmという記述がある。
が、私の経験談を話せば・・・6cmはあった。
一昨年、東京の古書店からネットでヴィンデルバントによる『一般哲学史』(全4巻)を取寄せたことがあった(井上忻治訳、1941(昭和16年))。大きめの図書で、一冊ずつが箱入りだったが、そのうちの1冊を抜き出した時、フナムシを長くしたような巨大な紙魚が2匹、チョロチョロと出てきたのだった。つがいだった。6cmと4cmほどだったから、それを見たことのなかった私は悲鳴を上げ、すぐにベランダから外に放り出してしまった。
沖縄県の那覇市内にある古書店でも、同じくらいの大きさの同じような紙魚のつがいを見た。その時は、(あ!またコイツらだ)とは思ったが、その動きに驚いて本を手放すと、1匹がそれに少し挟まれたのだろう、体液が周辺の本に付着した。巨大な紙魚は逃げていったが、生き延びたかどうかはわからない。いずれにしても、せっかく夫婦で本の隙間で静かに暮らしていたのにと考えると心が痛んだ。なぜあんなにグロテスクな生き物なのに、かようにか弱い肢体なのか。不可解に思ったものだ。

  *

さて、問題児は次の昆虫で、その名も「死番虫」である!
ウィキペディアによれば、シバンムシは死の番をする虫 "death-watch beetle" に由来する。カチ・カチ・カチ…と音を立てて雌雄で交信を行なうのだが、これが死神の秒読みの時計に聞こえたところからネーミングされたという。すでに恐ろしい。

この昆虫のカタチについて、素人の私のイメージを示したい。
まず、カブトムシのメスやフンコロガシを思い出してほしい。だいたい体長6cmとしよう。
甲虫の中でも、あの少し縦長で丸っこい、特徴のあまりないといえばないノーマルなつまらない形だ。
これを、2.5cmまで縮小してカラフルにすれば、カナブンとかハナムグリの形になる。
さらに0.7cmまで縮小すればハムシの仲間になる。よくタンポポの花びらにくっついている。
それを、さらに縮小して0.3cmにすると、それがこのシバンムシなのだ!

江戸の和綴本をひらくとページにミミズ状の穴がたくさん開いているのをよく見かけるが、その犯行に及んだ真犯人がこのシバンムシなのである。本好きにとっては敵だろう。
ウィキペディアによると、世界で約2,000種、日本から62種が記録されている。カミキリムシに似た形の仲間もいる。

思い出してみれば小学生だった頃、教室の木製タイルの床の隙間に、黒くて極微細な甲虫を見かけたことがあった。女子が「ペペちゃん」という名前をつけていたのが私には印象的だった。これがシバンムシだったのだ。
畳にごく小さな円い点の穴がポツリと開いていることがあるだろう。あれも、こいつの仕業だそうだ。
このように家屋や書籍を食害するのは、シバンムシの幼虫である。白いイモムシ状の幼虫らしいが、私は本の中に住んでいるそういう生き物を実際に見たことはない。

図書館では年に一度、「蔵書点検」といって2週間だの1カ月だの平気で休むことがある。これはいわば棚卸し作業をしているわけだけれど、昔は「曝本期間」と言ったそうだ(12年前に図書館でアルバイトをしていた時に聞いた)。年に一度、日や風に本を曝(さら)して虫干しするのだった。何の虫を追い払うのかといえば、この図書本体をアリの巣状に喰らうシバンムシであろう。糊を食べるシミも追い出すにこしたことはない。

 *

「本の虫」といえば書物周辺に生息する生き物(見てきたように、チャタテムシ・シミ・シバンムシなど)をさすばあいと、それに引っ掛けるようにして、愛書家読書家の類をさすばあいとがある。
後者についえ言えば、私のように「充血が・・・」とか「ドライアイで体調まで・・・」とか常々嘆いている中途半端な人間には荷が重いので、それは今回は語らないでおこう。事実として、世の中にはとんでもなく多量の本を読む方が、けっこうおられる。

ただひとつだけ根本的な問題をいわせてもらえば、それは「読書好き」が良いのか悪いのか、ということだ。
世の中を良くしたい、良い人生を歩みたい、と思ったら、やはり先人や専門家の知識を糧にして思考を重ねることだろう。
となれば、やはり本に勝る媒体はない。図書館にも本屋にも通って、これはというものをどんどん読むし、自然とその人の書棚も大きくなっていく。
ところが。
読書家がそうでない人々と比べて“魅力的な人間”になっていくかどうかといえば、諸兄も同意見かと思うが、全然そんなことはない。
無学な人が暖かな心の持ち主だったりすることは多々ある。金持ち連中が全然本を読まなかったりする。
そしてむしろ読書家に多いのは、偏屈な意地悪爺さん、高慢チキな学者、高圧的な説教婆さん、他人無視の冷淡な文学少女、集中弾丸トークのマニアック青年、情報出し渋りの優等受験生などで、挙げ連ねればイイ奴なんかむしろ少ない気がしてくるくらいだ。

また、本を執筆する人の多くは読書家だろうけれど、作家や哲学者がこれまたDVしたり、生活無能者だったり、精神疾患ひいては自殺が少なくないことも、(ホント、なんのための知識だよーっ!)と叫びたくなる。
そして、16世紀ヨーロッパに登場した、怪しい放浪の魔術師であったネッテスハイムのアグリッパという人がこういったのを思い出してしまう。

 「無学な者は昇り、天上に運ばれるが、われわれは、われわれの学知とともに地獄に沈むだろう」

以前ブログに書いたが、デカルトも本を離れて現実世界を読めとか、尊徳二宮金次郎も書籍を尊ばず天地を経文とせよ、などと言っている。なお、2人ともとんでもない読書家だったから、どう解釈すればよいのか考えねばならないが、とにかく彼らは洋の東西こそ違え、まったく同じことを言っていた。

本は、――本というのは、諸刃の刃なのだ。
凡人の私もわかっているつもりだ。本や情報に人生全部を喰われないようにしなくてはならない。
それはたとえば、商売金儲けに人生を捧げたり、仕事人間で生涯を終えたり、パチンコに人生を費やしたり、ゲームに青春を捧げたりと同じことで・・・
「え? 仕事人間はいいんじゃないの? 金儲けも、悪くないんじゃないの?」

・・・本当にそう?

ま、まあ、生活無能者の私がどうこう述べる資格もないわけですので、・・とにかく「本の虫」、の話題でした。(汗)
今年もよろしく!